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湯

その男とは、たしか2006年の福井映画祭で一緒に短編映画がノミネートされて知り合った。「ロケットパンチを君に」という映画と「ナポリタンデイズ」という映画だった。帰りの電車はなぜかインドの話で盛り上がった。しばらく経って、2010年1月に一緒に京都の映画館で映画を見た。彼が作った「琥珀色のキラキラ」という短編を見て、いたく感動した。その後、やってた映画を二人で観ていたが感性の似ている二人はどちらも「評価高いらしいけど、俺には合わんわ」と、二人で喫茶店に入って「どうやったら映画監督として突き抜けられるのか」って話を延々とした。その当時僕らは二人共、相変わらず「パっとしない」映画監督だった。二人の結論は、「やっぱりガツンと長編撮って世に問わないといかんな」ということだった。それから彼は「チチを撮りに」という長編を作り、ベルリンで賞を撮った。どんな経緯かは知らないが、その後彼は宮沢りえを主演に「湯を沸かすほどの熱い愛」という映画を撮った。試写会で観たその映画は、日本映画史に残る傑作だった。突き抜けたその男の名前は、中野量太。さて、今度は私の番だ。